約束の本

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会社を辞めて物書きになる! そう言ったのは10年前 母は大反対 「何夢みたいな事いってんの? 何で食べてくの?」 決心は固かった 「ごめん母さん、戦いたいんだ!自分の人生と…だから甘えたくないから東京に行く、バイトで食いつなぎながらでもやって行くから」 それから幾日もの母との衝突の日々、そして 「勝手にしなさい」の母の言葉で終わった。 「私は本なんて1ページ読んだら飽きちゃう、私が最後迄読める本を書きなさい!」 わかった、やって来る、作家になって帰って来るから待っててと言った自分に「あんたは出来が悪いんだからちょっとやそっとじゃ無理だね!10年後その本持って帰ってきな!それまで生きててやるから!」 警備員をしながら必死に頑張った 少しずつ認められて来た でも本を出すなんてとんでもない果てしない夢、とにかく我武者羅に頑張った。 才能と言う言葉が邪魔しても我武者羅に頑張った。 今年で10年だ それまで生きててやるからと言った母はその1年後大津波で海に消えて行った。 でも母に天国で読んでもらいたくて。 1000文字で飽きちゃう母に最後迄読んで欲しくて。 必死に書いて来た。 今、自分の横にはこんな自分を信じて支えてくれている人が横にいる。 「俺、10年前の自分に聞いてみたんだよ、 今の自分を想像してみたか?甘かったのかな?」 「10年前のあなたは知らないけど、お母さんはわかってたんじゃない? あなたの覚悟を… お母さんとの約束は果たせなかったけど、10年後私を幸せにする本を書いて もう一度覚悟を決めて?」 今日もスーパーの駐車場に立ちながら 新しい作品のプロットを考えている 彼女を幸せにするプロットも一緒に
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