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きっかけはオレンジの本
私がエブリスタを知るきっかけになったのは「櫻子さんの足元には骨が埋まっている」だ。
私は二人の息子に絵本を読み聞かせ育てた。そんな彼らが思春期になった際の本選びが非常に気になっていた。そこで、自分が面白かった本を紹介しようとライトノベルを読むようになった。
携帯もガラケーですっかり本から遠ざかっていた私は、本屋に並ぶ横書きのケータイ小説。過激な内容のライトノベルに驚いてしまった。
しかしこれが今の文学だと理解した。
北海道札幌生まれの私は三浦綾子さんや渡辺淳一さんの本をよく読んでいた。
アイヌ神謡集「銀のしずく降るふるまはりに(弘南堂書店:知里幸恵)」の詩も好きで手元に置き、今も美しい言葉に心がリセットされる。
北国の風土というか、空気を感じるのだ。また釧路市出身の桜木紫乃さんが第149回直木賞を受賞され、なぜか私も嬉しくなっていた。
そんな中、ある本を手に取った。角川書店の薄めの本には物騒なタイトルがあった。作家の女性は北海道出身とあった。気になって購入して読んだ。面白かった。
本のタイトルは「櫻子さんの足元には骨が埋まっている」とある。名は恐ろしい。次男はタイトルが怖いので読まないと言う。彼が読んでいるライトノベルの方がよほど残酷なシーンが出てくると思うのだが、息子に言わせると現実ぽい方が怖いと言うことだった。
このヒット作は私は北海道の空気とか、文から滲むおおらかな情景が見えると言うか。内容ももちろん、文章の匂いは素敵に感じた作品だった。確かに人骨が出てきてグロテスクに感じるが、血の匂いのしない話に思え、私は読むのが楽しかった。
やがて子育てがひと段落し、何かしようと思った私は小説を書き出した。何を書いていいのかわからず暗中模索の中、とりあえずコンテストに応募していた。
しかし手塩にかけた作品が一次選考に通らない日々、私は可哀想な自作品を小説サイトに投稿することにした。知っているのはエブリスタだけであった。
この二次利用行為は、私にとっては踏み絵である。
ここで誰にも読まれなければ作品はそれまでのものであると言うことだからだ。ここで私はこの事実を受け止めるのであった。
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