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このままではダメだ
私の処女作は全然読んでもらえなかった。これは角川ビーズログ文庫賞という第一回のコンクールに応募したものであった。応募者が少ないであろうと私の姑息な狙いは虚しく撃沈に終わったが、この作品はエブリスタでも撃沈した。
私はようやく受け止めた。私の話は全然ダメだという事実を。
しかし転んでもただでは起きない私。泥沼の中で考えた。どういう作品が人気があるのかということだった。それまでの私は感情移入がしやすい一人称に拘っていた。しかしエブリスタの人気作を改めて読み直し文章なども省みた。そして今後は対コンクール用ではなく、エブリスタ用に書いてみた。これは読む人がいて嬉しかった。
まず三人称にした。書いたことがなかったが、書いてみると動きが大きく楽しかった。
そして設定や登場するものを自分がかつて勤務していた会社にした。夫に知らない事を書かない方がいい、と助言されたからだ。
これは23話で完結だったのに読み手が多いのが嬉しく、番外編を続けた。やがて続編になったこの作品。私は一年と七ヶ月の毎日の新作を公開した。
およそ毎回5000文字数の話を目指したが、まずは継続を重きにし、短い話でも構わず公開した私は、これを毎日読んでくれるエブリスタの読者に感激していた。誰も読んでくれなければここまではなかなかできないもので、これがネット小説の力というものであろう。
しかしそんな私は、ある日から書くのが嫌になっていた。それはネットの広告のせいだった。
自分の小説に過激な性描写の広告が入っているのが続いていたからだ。息子に読んでもらっても恥ずかしくない話がモットーの私。エブリスタには無料で利用させていただいている立場である。これを拒否する立場にないと思った私は作品の区切りもあり、この長きに渡る連載をこの期に止めにした。
だがその後、エブリスタから不快な広告についてお詫びと改善の知らせがあった。これを読んだ私は、自分と同じ気持ちの人がいた事に安心したのと同時に、不快な思いを伝えずに連載をやめてしまった自分は良くなかったと感じた。
例えば「ズボンのチャックが空いていますよ」とこっそり教えてあげても良かったのだ。
若い利用者が声を上げにくい事や、本気で作家を目指している方は何かとエブリスタに物が言いにくいかもしれない。それにうまく伝えられずにクレマーとされるのも悲劇だ。
そこで私はこれ以降。気がついた事は素直に知らせる事にした。
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