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冷蔵庫の中の物
『ぞうきんガール』がエブリスタの特集になった時のこと。この時は親切に「あなたの作品が特集になりますよ」とかなり前からメールが来た。初めての事だったので有難く思い、慌てて誤字脱字を見直したことが懐かしい。
特集になると急に読者が増える。びっくりするぐらい増える。さらに新規の読者が増えるのが特徴だ。
これはランダムで特集のトップになるが、なぜかいつ見てもそうなってなかった。きっと夜間とかたまたま自分が見ていない時刻なんだろうとエブリスタを信じて見る事を諦めた。
そんな中、私はこの作品が「働く人々の特集」で選ばれた事が非常に不思議であった。それは頑張って書いた描写の部分よりも、気を抜いて書いた仕事の場面が評価されたからであった。
それはまるで高い食材を使って必死に作った料理よりも、冷蔵庫に入ってた物で適当に作った料理の方が美味しいと言われたような気分だからである。
しかし。作品中の仕事の場面は確かに実体験に基づく物で、社外の人には目新しいのかもしれないと思った。
子供の頃。近所の暴走族のお兄さんに海水浴に連れて行ってもらった楽しい思い出や、今の仕事でマグロの中落ちを作っているような私の話は、私にとって当たり前の話だが、他者から見れば面白いのかもしれない。
この時はたまたまこのキーワードで載せてくれただけかもしれないが、私はこれ以来、私の心の冷蔵庫に入っている材料で小説を書いている。
<2020・7・3>
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