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――十年後。
予定通りタイムカプセルは掘り返され、綾音と俊太の手紙も取り出された。
立派な青年に成長した俊太が綾音の手紙を開くと、そこにはこんなことが書かれていた。
『十年後の俊太へ。この手紙を一緒に読んでいることを切に願います。
あの頃は言えなかったけど、私も、いわゆる不治の病に侵されています。もしかすると、俊太より先に死んでいるかもしれません。
でも絶対に生き延びて、俊太と仲良く生きていきたいです。お互いに頑張ろう!
あなたの親友、綾音より』
零れ落ちる俊太の涙を拭ってくれるものは、誰もいなかった――。
(了)
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