にぶんのいちのせんたく

5/7
前へ
/7ページ
次へ
 大丈夫。  手に持っている便箋の下部に視線を戻す。そこには、先生からのメッセージが赤字で書き込まれていた。優しく、あたたかい文字。僕に希望をくれた言葉を心のなかで反芻する。  もしもあの時、勇気を出して手紙を書かなかったら、未来はどうなっていただろうか。  先生、と呼ばれて、振り返る。少し黄ばんだその手紙をポケットのなかに忍ばせながら、あの頃の僕につぶやく。
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9人が本棚に入れています
本棚に追加