働くニキビ娘

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 とは言っても、毎日仕事が忙しくて、プライベートの時間に肌のケアにまで気をつけなきゃいけないなんて……。正直めんどくさい。家に帰ったら、何も気にせずお腹いっぱいご飯を食べて、さっさと寝たいのだ。 「君の気持ちはよくわかるニキ〜。なるべくラクしてきれいになりたいニキね」  うんうん、と私は激しく頷く。 「でも、スキンケアって毎日ほんの少しの時間でできることニキ〜。通勤電車に乗っている時間より短いニキよ〜」  それだったら、がんばれるかもしれない。  その日から私は自分の顔にいるニキビの指導のもと、スキンケアをがんばった。やってみると日に日に鏡を見るのが楽しくなってくる。以前は、大して自分の顔になんて興味を持てなかったけれど、今は、日に日に美しくなっていく自分の肌を眺めるのが日課となっていた。  自分のやった努力が目に見えるのがよかった。  出会ってから、数週間後。喋るニキビは最初に出会った頃より、小さくなっていた。 「そう言えば、私がスキンケアをがんばると、あんた消えちゃうんじゃ……」 「今頃気づいたニキね。もう遅いニキ」  ニキビは少し寂しそうに言った。 「最近、キレイになったニキね」  その言葉を最後に、ニキビは弾けて消えていった。    私のスキンケアコーチをしてくれたあのニキビがいなくなってしまい、少し寂しい。でも、コーチに指導してもらったことをこれからも続けていくことが、私の目下の目標である。
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