あがき続ける人生も、そう捨てたもんじゃない

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15歳の春。 俺は高校受験に失敗し、家が隣の幼なじみ木暮里桜と、初めて別々の生活を送ることになった。 でも俺は、いままで通りの関係を変えたくなくて、里桜の家にあがりこんでは夕食をご馳走になったり、里桜に宿題を手伝ってもらったりした。 なんだかんだと里桜にまとわりついていたんだ。 けれどそんなある日、里桜が透をウチに連れてきた。 「私たち付き合うことになったの」 そのときの里桜の顔は、俺が今まで見たことがないくらい輝いていた。 恋する女の顔だ。 俺はバカだ。 透を紹介されて初めて、自分の気持ちに気がついたのだ。 15年以上も里桜と一緒にいたのに、この日俺は、自分が里桜を好きなのだとやっと気づいた。 俺はどん底まで落ち込んで、なにやら話しかけてくる妹にまともに返事することもできなかった。
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