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本棚に追加15歳。
「ただいまー」
「あ、タケル。おかえりなさい」
二階の部屋で重たいエナメルバッグを下ろす。夕日が差し込むカーテンを開けて庭を見下ろすと、木や芝生は無くなってコンクリート敷になっていた。
「なんだか黄昏気分?」
庭のベンチに腰掛ける僕の背中に、母さんが声をかけた。
「なんというか、ちょっと寂しいよね」
「確かに、ね。タケルが精一杯遊べるように芝生にしたんだけど、もう庭で遊ぶって歳でもないものね」
僕は庭の真ん中の、アカシアの木が立っていたところに座り込んだ。僕はこの木陰が好きだったんだ。
「そういえば」
母さんが、何かを思い出したように手を叩いた。
「タケルが生まれてすぐ、退院して初めてこの家に来たとき、そこに立ってたアカシアの木に触って喜んでた。懐かしいわね」
もちろん僕は覚えていない。けれど、あのアカシアは僕の今までを、ずっと見守ってくれていてくれていたんだ。
もう日差しを遮るものはない。けれど心地よい温もりは、まだここにある気がした。
夕日が、やけに優しかった。

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