ワタシ会議

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 カタン、と椅子が動く音に目を上げると、空いていた最後の椅子が埋まっていた。  最後の椅子を埋めた彼女は、口角をわずかに上げて笑みを……笑顔だと分かる表情を浮かべた。  どうやら『私』はあと10年で随分表情が豊かになるらしい。 「遅刻ですよ」  一番若い『私』がトゲのある声を『私』に向ける。  そういえば私は、遅刻が一際許せない人間だった。  新しい家族を得て、電車で通勤するようになって、自力ではいかんともしがたい遅刻があると今は知っているけれど、10年前の私はそれを知らない。 『絶対の正義』が通じないこともあるのだと知ったのは、一体いつのことだっただろう。
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