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パーティの最中、ずっと修一の様子を眺めていると、案の定修一はちらちらと僕のことを気にしている様子だった。
空也と歩くんが出ていった後に続いて、頃合かと思い、僕も部屋に戻ることにした。
これから僕の楽しいバカンスが始まるんだもの。
コンコン
「どうぞ」
声をかけると、扉を開けてなんだか腑に落ちないような表情を浮かべた修一が入ってきた。
「どうしたの?」
来ると思った。
「…何か、用があったんですか?」
「ん? どうして?」
「だって、ずっとオレのこと見てたじゃないですか…なのに、あっさり出ていっちゃうし」
「もしかして期待させちゃった?」
「ち、ちがッ…あんまり、見ないでください」
「やだなぁ、どうして? 可愛いなぁと思って眺めてただけだよ」
「またそんな…」
修一が顔を赤くして、悔しそうに俯いた。
あ、かわいい。
「そう、気に障ったならごめんね」
僕は経ちあがって、修一の方へ歩いていくと、髪を撫でようと手を伸ばした。
「や、やめてください…」
「どうして。触るくらいいいじゃない。他の子たちは触るでしょ、君に。僕はだめなの? そんなに嫌われちゃったかなぁ」
「別に、嫌いとかじゃないけど…」
修一は開き直ったように顔を上げると、僕を強い目で見た。
うん、思ったよりずっとかわいいな、この子。
「せっかくのバカンスなんだし、楽しまなきゃ損だと思わない? 君なら分かってくれると思って、僕は仲良くしたいんだけど」
「そりゃそうですけど」
「でしょ。まぁ、座って。何か飲む? アルコール大丈夫だよね」
修一は警戒したのか、一瞬身を堅くしたけど、すぐに持ち前の負けず嫌いが発揮したのか、ソファに座ると、僕をじっと見た。
気の強い仔猫ちゃんは好きだなぁ、なんて口にしたら、逃げられるかな、さすがに。
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