TF:舟木修一no.1

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TF:舟木修一no.1

 夏休み、理事長の計らいで空也たちはプライベートアイランドで過ごすことになった。  もちろん、僕も彼らと同じコテージではないけれど、滞在させてもらうことになっていた。毎年空也や珠希とは一緒だったし、あそこは波がいい。  その頃には僕も、山田兄弟の魅力がわかるようになり、空也が歩くんを大切に思う気持ちも理解できた。氷のように冷たい印象を持つと言われていた空也がどんどん溶けていく姿を、少しだけ複雑な気持ちで見ていた。  まぁ、おもしろいんだけどね。  僕の予想以上に、今年はおもしろい夏を過ごせていると思う。  歩くんのクラスの女王様が上級生をクルーザーから蹴落としたり、とにかく見ていて飽きなかった。  傍観者の立場としては、本当に楽しかったけど、みんなそれぞれ相手がいるかと思うと、誰か連れてきたらよかったかな、なんて少し思った。でもセックスする為に長時間一緒に過ごすのは耐えられないから、やっぱり僕は一人の方がいいのかも。  そう思っていた時、僕の目にはいったのは希くんのクラスの舟木修一だった。  今時風のオシャレなルックスに、軽い感じ。僕は今まで何度かその名前を耳にしていた。  舟木くんならフリーだし、空也に咎められることもない。ここでだけ楽しく過ごせそうだ。 「ふふ、やっぱり綺麗な顔してるよね」  さすが、僕の仔猫たちが噂してただけあるよね。 「は、はあ」 「けっこう好みだよ」 「そうっすか、どうも」  そっけない振りしても、思いっきり僕のこと意識してるみたいだ。これはうまくいくね、きっと。タチだって言い張っているけど、だからこそおもしろいんじゃないか。まだバカンスはたっぷりある。ちょうどいい退屈凌ぎだ。  きっと舟木君だってすぐ気がつくはず。
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