このことは 夫には内緒

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うーん、いいお天気だ。 昨日の雨が嘘みたい。でも明日からまたお天気不安定らしいから今の内に草むしりしておこう。デッキのサンダルに足を突っ込むとひんやりして気持ちいい。さて。草刈り鎌は、と。 「ママ、手伝うよ。」 見上げると二階の窓にニコニコ笑顔のたっくん。金髪にお日様があたってきらきら綺麗だ。 「ありがとう。でも宿題は?」 あ。 にこにこたっくんがいきなり八の字眉の渋面になった。 「あのさ、ママ。ゴールデンウィークって長いんだよ。まだあと二日残ってるんだ。すぐできるって。」 あらら不貞腐れちゃった。ここはご機嫌なうちに手伝ってもらおうかな。 「じゃあお願い。」 って私が言いきらないうちに、ものすごい勢いで階段を駆け下りてくる音が。 「お待たせ。どこやればいい?」 一瞬。 息が止まった。 デッキに置いてあるカイのサンダルを引っ掛けて白い歯を見せて笑うたっくんがカイの子供の頃に重なったから。 そういえば6年生になって急に背が伸びた。この頃は『骨が痛い』ってよく言ってる。 カイもそうだった。成長痛なんて言葉知らなかった私はカイが死んじゃうんじゃないかとめっちゃ心配して腕や肩を擦ってたっけ。 ……今思えば私、男の子の体にどれだけベタベタ触ってたんだ? 「どしたのさ、ママ。」 あ。 「な、何でもない。」 やだやだ、思い出したらめっちゃ恥ずかしくなってまったわ。ううっ、たっくん見ないで、って私なんかに目もくれずもう草むしり始めてるし。 「そういえばタバサは?」 「お向かいのウタナちゃんとこ。」 「ふうん。ウタナのとこか...あいつら仲いいよな。いっつも一緒。」 あれ?たっくん面白くなさそう? まあ仕方ないんだけどね。タバサももう5才。これから自分の世界がどんどん広がっていくの。いつまでもおにいちゃんのTシャツの裾を握り締めてはいない。それはたっくんだって同じ。
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