751人が本棚に入れています
本棚に追加
「お前の部屋だ。ここを掃除して使うといい」
私の部屋…今まで住んでいたアパートより断然綺麗だ。
「社長、そろそろ社に戻らないと」
「分かった。…おい、携帯を貸せ」
私の携帯を社長に渡す。すると何やら携帯を操作し始めた。何してるんだろう?操作が終わると私に携帯を返してきた。
「家に帰ってまで社長と言われたくないからな」
『進藤 敬輔』
携帯を見ると、社長の名前と携帯番号が登録されていた。名前で呼べって事なのかな?
「掃除用具はそこの部屋にあるから俺が帰るまでに掃除しとけよ」
社長…いや、進藤さんは会社に戻るため高瀬さんと玄関へ向かう。私もお見送りのため2人の後をついていく。
靴を履き終えた2人。すると、高瀬さんがクルッと振り返り私の方を見た。
「携帯をお借りして良いですか?」
私は携帯を渡す。その携帯を受け取ると高瀬さんは何やら操作をし始めた。
「ありがとうございました。私の番号を登録してますので、何かあればいつでも連絡して下さいね」
高瀬さんは笑顔で携帯を返してきた。
「はい、ありがとうございます」
私も高瀬さんにつられて笑顔を返す。そして進藤さんと高瀬さんは会社へ戻った。
「なんか凄い展開になったなぁ」
1人になった私は思わず呟いた。色んな事がありすぎて、今日1日で何ヶ月も時間が経ったような感覚だ。ジッとしていると頭の中は義雄の事でいっぱいになる。
「よし、取り敢えず掃除しよう」
気を取り直して掃除用具のある部屋へ行き、用具の確認をする。 そこでまず目に入ったのが自動掃除機能搭載の掃除機だ。初めてみる自動掃除機に少し興奮する。
「これで掃除してみようかな」
……?
どうしよう。使い方が分からない。部屋の奥の方を見ると、普通の掃除機があった。
「やっぱり、この掃除機で掃除するか」
私の部屋の掃除を始める。スーツ姿だと掃除がし辛いが仕方ないか。それにしても、この部屋にはベッドにテレビ、テーブルも置いてある。
もしかして誰かが使用していた部屋だったのだろうか。私なんかが使っても良いのだろうか。
そんな事を考えながら掃除は完了した。
最初のコメントを投稿しよう!