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「そうですね。何だかシンデレラになった気分」
「シンデレラって…俺は王子か?面倒くさいから間違っても俺に惚れるなよ」
「惚れませんよーだ。彼氏と別れたばかりでまだ恋愛する気になりません。…というか私は義雄の彼女にもなれてなかったのかも。いつも『るな』って源氏名でしか呼んでもらえなかったし。都合のいい女だったのかな」
義雄の事を思い出すとまた気分が落ち込んできた。
「だってお前、彼氏にやらせなかったんだろ?都合のいい女にすらなれなかったんじゃないのか?」
「やらせなかったって…私だって触れ合いたかったけど、どうしても出来なかった。無理だったの…」
「不感症か?」
「ち、違います…っていうか、そんな事普通聞きます?」
そう言って話を中断させた。笑みを浮かべている進藤さんを横目に、私はプィっと顔を反対の方に向け、車の窓から外を眺めた。
やっぱり男の人って、やらせない女からは離れていっちゃうのかな。私だって興味がないわけではない。ただ出来ない理由があった。
「着いたぞ」
ボーっと考え事をしながら外を眺めていると、横から進藤さんが話しかけてきた。気がつくと、大型家具店に着いていた。
車から降りて進藤さんと2人で店の中に入る。ここで何を買うのだろう?
「お前の部屋に必要な物を選べ」
「えっ?でも部屋には既に色々ありますし、必要な物と言われても…」
「あれはあの部屋を使っていた奴が使用していた物だから、ベッドシーツや布団とかは新しく買い揃えてやるよ」
やっぱりあの部屋を使っていた人がいるんだ。元カノかな?でもせっかくなのでお言葉に甘えて色々買ってもらう事にした。
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