私の運命

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「お風呂頂きました」 進藤さんに声をかける。そしてふと窓の方に目をやると、透明の大きな窓からは綺麗な夜景が見えた。 「わぁ」 私は窓に近づき外を眺めた。タワーマンションの上階にあるこの部屋からは綺麗に夜景が見える。 「珍しいか?」 窓の外を見ていると、進藤さんが私の横に来た。そして赤ワインの入ったグラスを私に渡してくる。 私はそのグラスを受け取り、窓の前に2人並んだままグラスをチンっと鳴らして乾杯した。 …ピンポン 誰か来たようだ。 進藤さんはテーブルにグラスを置き、インターホンを確認する。そして玄関へ向かったかと思うとすぐに部屋に戻って来た。 「あ、いい匂い」 部屋に戻ってきた進藤さんから何やら美味しそうな匂いがした。手には平べったい四角の箱を持っている。 「この匂い…ピザ?」 「鼻がいいな。お前が風呂に入っている間に宅配ピザを注文しといたんだ」 意外… 社長って言うくらいだからもっと高級志向かと思ってたけど違うんだ。 進藤さんはダイニングテーブルの上にピザを置き、皿の準備を始めた。私もワイングラスをテーブルに置き一緒に準備を手伝う。 テーブルに並べられたピザと赤ワイン。 私と進藤さんは向かい合って座り、温かいうちに目の前のピザを食べる。 「美味しい」 とろけるチーズが最高!久しぶりに食べたピザと赤ワインのおかげで私は上機嫌だ。 ふと視線を前に向けると、進藤さんも大きな口を開けてピザを食べていた。 「俺がピザを食べるのがおかしいか?」 進藤さんは私の心を読み取ったかのように笑みを浮かべて私に話しかける。 「そ、そんな事は…少ししか思ってません」 「素直だな。身近にピザ好きな奴がいて、そいつの影響かな。最近ピザにハマっているんだ」 そう言って進藤さんはまたピザを頬張る。 ピザ好きな人ねぇ。そういえば私が部屋の整理をしている時に、恋愛もののブルーレイがいくつか置いてあったっけ。やっぱり彼女がいるのかな。
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