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永遠にお眠り
「あと少しだ、急げ!」
「ええ!」
空から次々と降注ぐ、魔法弾の雨霰。それらは嵐を巻き起こし、雷を降らせ、逃げる私達を追撃してくる。
ルカイエ共和国と、チェリンカ帝国が泥沼の戦争を始めて、もうすぐ十年になろうとしている。今まさに戦果は国全てを飲み込み、民も兵士も関係なく焼き尽くさんとしている状況だった。
私達、ルカイエの兵士に残された希望はただ一つ。太古の昔に封印されたという、幻の魔導書を見つけ出すことである。それがあれは過去の自分に呼び掛けることで時を巻き戻し、この世界に平和を取り戻すことができるというのだ。
「よし、此処よ!」
私は愛する仲間達と共に、ボロボロの塔の階段を一気に駆け下りた。敵もまた、同じ魔導書を狙っているはずである。この塔まで辿り着かれるのも時間の問題だ。それ以前に、この塔が魔法攻撃で崩れ落ちる前に、決着をつけなければならない。
あの魔法を発動させることができれば。十年前、戦争が始まる時に犯してしまったあの失敗さえなかったことにできれば。ルカイエ帝国が、ここまで大きく戦力を失うこともなかったはずである。
そう、一番最初の戦いで、チェリンカの卑怯な不意打ち攻撃により大きな砦を二つも失ったのが問題だったのだ。時間を巻き戻し、あの攻撃のタイミングを皆に教えることができれば。むしろチェリンカ帝国の連中に一泡吹かせ、この戦争を早期のうちにルカイエの勝利で終わらせることができるはずなのである。
「あったわ!」
そして、私達は小さな小部屋に到達する。金色の箱に、その分厚い魔導書は収められていた。私はそれを抱え、呪文を唱えたのである。
「今こそ応えよ、十年前の君よ!時の女神の名の元、我らに時間遡行の術を与えたまえ……!」
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