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言の葉、8歳
大好きなピアノにおもちゃの剣を振り下ろした。
ジャーンと鳴る不協和音。
黒いピカピカのピアノにまっすぐ白い傷が走った。
分かってもらえないのが悔しくて。
分かってもらうための言葉が見つからなくて。
伝えたい気持ちがいっぱいあるのに、伝える術が分からない。悔しくて悔しくて、剣に気持ちをいっぱい詰め込んで振り下ろした。
傷を見ていっぱい泣いた。
何も分かってくれないパパにたくさん怒られて、また泣いた。
大人になってたくさん言葉を覚えたら、この気持ちを全部伝えることができるんだろうか。
8歳の僕。
父の日の思い出。
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