10人が本棚に入れています
本棚に追加
「ほら、早く持ってってよ」
「なにを言っている?」
「三つ目の願いだよ」
「俺は貴様の望み通り、手紙を届けるという約束を果たし終えているのだぞ」
「いや違うよ悪魔。僕の願い事は『十年後の僕へ、僕の手紙を届ける役を悪魔にお願いした』んだ。だから、悪魔、君はまた僕の書いた手紙をまた十年後届けてくれ。よろしく」
「ぐあぁー!謀りおったな!」
そう言って悪魔は、僕の手紙をひったくりビリビリに破く。思う壷だった。
「なあ。悪魔、これ読んで。十年前の約束ごとだ。君は約束を破った。だから僕の魂は売れないな」
僕は十年前書かれた文面を悪魔に見せる。
そこには汚い字でこう書かれていた。
『ぼくへの手紙がやぶかれたり、読めなくなったらけいやくはむこうになると約束した』
最初のコメントを投稿しよう!