人類統合計画

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 ちょうど10年前の事だ。地球にパンデミックが起こった。当時の世界保健機構は事の重大性を鑑み、世界規模のパニックを避けるために、その深刻度を低くアナウンスする事とした。その後国連は、世界各国の首脳陣らを召集した。水面下で進められていた計画を遂行する願ってもないが来たのだ。  行うのは人類の選別。  これは「」と呼ばれ国連が長年に渡り議論して来た計画だ。それは現在の世界総人口約70億人から、身体及び頭脳の優秀な1割を残す事とする計画である。  地球に最早、今の人口を維持する体力は無い。人類絶滅を危惧しての国連満場一致の上、立てられたものだ。国連はこのパンデミックの襲来を計画実行する時と判断した。  残すのは年代別に最善のバランスで──上限は40歳とした。  早速、各国、国民所有のスマホに知能を測る問題が送られた。そこで判明した優秀者上位5割の身体能力の選別を測り、更に5割に絞り、国連が各国振り当てた人数まで振り落としていく。  選別された約7億人は、地下に造られた巨大シェルターに避難する。地上に残った人間は故意に治療薬も開発されないまま、疫病の蔓延で全滅するという計画である。  国境のない地下世界。  人々は、人種の域を越えて助け合い、愛し合い、地上の難が去るのを待つ。世代が何世代か代わるまで地下生活は続く。そして、いよいよ満を持して人々は地上に上がるのだ。    その満を持する時とは、人類の世代交代が完璧に終了し、10年前に立てられた世界規模の計画通りになる時。  人種という概念は消滅する。  これぞ、正真正銘の地球人の誕生である。  それが果たして、人類が誕生し世界に広がって行く以前の姿に戻るのかどうか。それは今の時点では知る由もない。
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