10年前の君へ

1/4
前へ
/4ページ
次へ
ある日、家のポストに一通の手紙が届いた。 封筒には、「10年前の君へ」 そう書かれてあった。 10年後ならまだわかるけど、10年前って、何? 悪戯かよ、そう思って裏を返せば、右肩上がりに書かれた"川村悠人(かわむらゆうと)より"の文字 「え……」 自分の名前だ。 その見慣れすぎた筆跡に、突然心臓の鼓動が煩くなる。 俺はそれを掴んだまま、弾けるように部屋に戻った。 まるで漫画の新刊を買った帰りみたいな、そんな不思議な高揚感に包まれながら、どこか震える手でその丁寧に糊付けされた封筒を破るように開けた。 そこには、こう書かれてあった。
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!

17人が本棚に入れています
本棚に追加