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◆◆◆
十年前の俺にという手紙を、二度も書いた俺に──
キミは二通目にレンガ仕立ての一軒家を買わせるなと警告を送ったね。
だがどこに行っても無意味だった。
呪われていたのはこの俺自身だった。
高層マンションの上階には子供など ただの一人も住んでいなかった。
それから散々家を買い替えたがどこも同じだった。
子供と女と首を吊った男。
どこに行っても彼らが俺の周りをうろついて、離れない。
妻はそんなものはどこにもいない、音も聞こえないという。
何度も住む家を変えるので、妻は愛想を尽かせて出て行ってしまった。
彼女を失いたくないのなら、キミは彼らの存在に耐えねばいけない。
音を聞いても無視をし、驚いても何もないフリをしろ。
難しい事だというのは分かっている。
だが、俺にはキミの健闘を祈る事しか出来ない
◆◆◆
過去のキミへ
もうキミへ手紙を書くのはこれで最後にしよう。
キミは非常によくやった。
妻の前で彼らの話をする事もせず、ヘンに怯えさせもしなかった。
だが、妻は隠し事を持つ俺にずっと不満を感じていたそうだ。
話して分かってもらう事も出来なかった。
手紙など書かない方が良かったのかもしれない。
高層マンションに住み、子供の足音がうるさくて嫌だと、ただそれだけを思いながら生活していく方が──。
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