ただ一つの愛情

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…よくやったぞ、10年前の俺。こいつにして正解だった。  容姿はアレだし性格が可愛いわけでもない。社長令嬢ってんで高い服着てセレブぶってたけど、実態は小さな町工場の一人娘。俺がこいつと付き合うって言ったら、みんな嘲笑してたよな。    でもザマアミロだ。俺は彼女自身じゃなく、彼女の親父の会社に可能性を感じたんだよ。  結婚して養子に入り、俺らは肩書だけは常務取締役。それが2年後に製品が大ヒットして、会社は絶好調になった。    俺たちは本当のセレブになって好き放題やったよな。あいつはホスト狂い、俺は愛人を取っ替え引っ替え。仮面夫婦だからお互いどうでもいいし、暗黙の了解でガキもいねーし。ま、あいつにただ一つ愛情を感じるとすれば、俺が何しても文句を言わないとこかな。  でも先代が死んであいつに代替わりしてから、会社はもうダメだ。あいつに経営センスなんてあるわけねーんだよ。来月は2回目の不渡りを出しそうだし。  10年…会社も俺ら夫婦も潮時か。あいつがホストと通じてる証拠は掴んでるし、あれ?うまくやれば俺、慰謝料までもらえてウハウハじゃね?ww  さて今晩は織子、いや梨沙と遊ぶか。最近、妙に懐いて可愛いからな。
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