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その瞬間、大好きでたまらなかった彼がただの軽薄な男に変わった。
それまでキラキラと輝いて見えた笑顔がくすんで見え、果たしてこの恋は本物だったのだろうかと不思議にすら思った。
額に若干の汗を浮かべながら、私は涙目でスコップを動かした。
やがてスコップに手応えを感じ、カン、と音がした。
十年後の彼を思って書いた手紙を撤収したいのは、何も自分の見栄やプライドを守りたいだけじゃない。
私はせっせと手を動かし、当時ピカピカだったスチール製の空き箱を土の中から持ち上げた。
錆びてところどころが変色していた。
ハァ、とため息が漏れる。瞳いっぱいにたまった涙が目尻からツツっとこぼれ落ちた。
A君の裏切りを知り、別れてから二年後。
私はC君を好きになった。
いつも近くで優しく接してくれた彼は、この十年で見事に成長し、当時私よりチビだった背も伸びてイケメンになった。
見た目が変わったから好きになったとかそんな理由じゃない。
ただC君の優しさが身にしみて、気付いたら異性として意識するようになっていた。
ハタチになった今でもその想いを伝えられず、片思い中だ。
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