SMR(〇英社 ミステリー 調査班)

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SMR(〇英社 ミステリー 調査班)

「話は聞かせて貰った!! 10年後世界は滅亡する!!」 「「「な、なんだ 【本作品に酷いパロディが混入したことをここにお詫び申しあげます】 「いや、10年経ったが世界滅亡しとらへんやん」  10年前、〇英社の一角に設けられていたミステリー研究会。  その跡地を眺めながら、かつて研究会に所属していた私は暗澹とした気分になった。  世はまさに世紀末。  から10年が経った。  過去の看板作品によれば核の炎に包まれているこの世界は、ずるずると平和に存続している。  20世紀末のあの終末思想の熱狂はどこへやら。  ふと、10年経ってそんなことを唐突に思う。  あの研究会のチーフも、煽るだけ煽ってどこ行ったかわかんないしな――。 「あの人、どうしているんだろう」  いや別に会いたくないけど。  本当に、会いたくないけど。  マジで、会いたくないけど。  それでも、思い起こせば、ちょっとした懐かしさを感じてしまう。  あの頃は本当に本気で世界は終わると信じていた。  10年後なんてない。  そう、信じていた。  あぁ、なにもかもがなつかしい――。 「感傷に浸っている場合じゃない!! 10年後世界は滅亡する!!」 「アンタまだ編集部に居たのかよ!!」  研究会仕切ってたイキリおっさん居たよ。  普通に編集部に居たよ。  そんでもってまた滅ぶとか言う。  地獄がはじまるう。 「またそんな無責任な。もう一回外したから、誰も信じませんよ」 「いや、世紀末に人類が滅びなかったのはアレだ――暦の数え方が間違っていた的な奴だ!!」 「それ、割と予言が外れた初期段階で使った奴ですよね?」  そうかもしれない、と、イキリおっさんは悔しそうに顔を俯かせた。  いや、そうかもって。  そこは認めるなや。 「まぁ、ねぇ、人類ってば、滅びる時はさっくり滅びるからさ」 「いきなり日常系四コマみたいなとぼけたこと言い出すのやめてくれます?」 「今回はちゃんとしたソースですから。活きのいい所から仕入れたネタですから。信頼してもらっていいですよ」 「活きのいい所から滅びのネタを仕入れるってどうなん」  ノストラダムスなんてもう誰も信じちゃいないよ。  えぇもう、いったい誰が人類が滅ぶって言うんだ。  はぁとため息を私がつく横で――。 「と言う訳でね、どう思いますかね、この作品を読んでいる10年後の君。世界、滅んでいますか?」 「メタネタで落とすんかい!!」  イキリチーフは第三の壁と時空の壁を破るのだった。  どうなんですかね。滅んでますかね、みなさん。
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