0人が本棚に入れています
本棚に追加
/3ページ
ラーメン屋は今でもやっているが、客はもっぱら人間だ。どうやら宇宙人的にラーメンはダメらしい。
「……やっぱりここのラーメン、うまいっすね」
「ああ、ありがとよ」
こうして喜ぶ客の顔が見られるのも、あの時の男が宇宙人の身分証をくれたおかげだ。きっと彼は未来、いやこの時代を生きるラーメンが好きな男だったのだろう。
「おやじさん、お勘定」
「はいよ」
客が小銭をカウンターに置いて、立ち去っていく。
しかし小銭の量が多い。明らかにお代以上だ。
「ちょっとお客さん」
そう呼び止めたが客は立ち止まらず、背を向けて言った。
「ツケの分だよ」
最初のコメントを投稿しよう!