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レジには顔見知りのミサトさん(年齢不詳)に、はーちゃん(ミサトさん命名の私のあだ名)は新人賞でもこの人の選ぶと思ったよ。店長との賭けは今回も頂きとニヤリと笑うので、いつも負ける店長に心の中でアーメンと呟いておいた。ミサトさんに勝てる日は来るのかきっと皆無だろうけど。
「でも、迷ったのよね~」
話をしながらも手はとめず流れるよに無駄かないその手つきは見ていて気持ちのいいものだ。
「分かるよ。"さらさら、落ちる"でしょ?」
「ねぇ、ミサトさんちょっと怖いよ?私になにかつけてるかと疑うくらい」
間髪入れずに正確な答えを導き出すミサトさんはきゃっきゃっと笑う。まるで今どきの若い人みたいで、私より年上のはずなのに私のが年寄りに思えてしまう。
「何年ここで買って下さってると思ってるんですか?お客様の購買を見極められなきゃこんなしけたところで販売員なんてやってられないですよ~」
しれっと店をディスることを忘れないミサトさんに思わず店長に聞かれると怒られますよと小声で話すと、はーちゃんだからよ〜秘密にしてね〜なんて小声で返事をするミサトさんは間違えなくこの書店の愛されるお局様だ。
「んーでも、これは私の感だけど。はーちゃんにはこっちのがハマると思うわ。」
丁寧に袋につめて手渡してくれたミサトさんにまた感想言いにきますねと言ってお店を後にした。
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