雨の悪戯〜Rain DAY〜

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「増田さーん!タオル貸して〜傘の意味ないぐらい雨降ってきてびしょびしょなんだよー」 頭のてっぺんから爪先までぐっしょり濡れていてどこか乾いてる部分があるかと言われれば、ないという答えしかないほどで、流石にそのままちょっと待たせるのには忍びないその装いに、私のコーヒーを入れる準備をしていた増田さんはギリギリの所で作業を中断した。 「マリちゃん。悪いんだけどあとで入れ直すからちょっとまっててくれるかな?」 私はとても申し訳なさそうにいう増田さんに間髪入れずにもちろん大丈夫です。それより早くタオルをと急かす。増田さんはおんに着るといって奥の部屋へと消えていった。 「あ、お客さんいたんだ。お姉さんごめんねぇ〜僕が鈍臭いばかりにマスターのとびきりうまいコーヒーをお預けにしちゃって」 「いえ、気にしないで。それよりもほんとに頭からバケツで水を被ったような濡れ方ね」 くすりと笑うとその男の子はちょっと照れ臭そうに斜め下を向いた。私はカバンの中からハンカチをとりだして彼の前に差し出した。 「あまり意味ないかもしれないけどよければ使って。」 「いやでも、お姉さんのハンカチびしょびしょになっちゃうよ?」 「このハンカチは人に貸すようにいつもカバンに入れてるものだからいいのよ」 そういえば彼はコクリと頷いてからありがとうといって顔や手、そして首筋を拭った。私が席に戻ると同時に増田さんがタオルを持って店に戻ってきた。
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