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しばらくしてレコードがまわり終わると、喫茶店の中は静寂に包まれて、外の雨の音が弱くなっていることに気づいた私は顔を上げて入り口をみた。
それから静かに視線を戻して、心を落ち着ける為にマスターのコーヒーに手を伸ばして両手でカップを包み込んだ。
「ねぇ、お姉さん。やっぱり続きを聞いてもいい?」
隣から聞こえてきた声に先ほどの弱々しい声はどこかへいってしまったかのように強い声でちょっとどこかに照れを隠してるようなそんな声色を聞きながら私は、コーヒーを口にした。
「分かったわ。その代わりちゃんと覚悟して聞いてよね?私の推しへの愛はそう簡単に語れるほどヤワじゃないの」
回転式の椅子をクルッと回して彼の方へ身体を向けると彼も同じように椅子を回していた。
「勿論。僕も推しへの愛はそう簡単に受け取って流せるほどヤワじゃないので。」
マスターの計らいで既に喫茶店のドアプレートはcloseに返されていたのに帰るときに気付いたぐらい2人で作品について話し合っていた。また彼から後日編集者として誘われることになるのはまた別の話ーー
(それでは、雨がやむまで)(愛を語りましょう)
(やっぱり待ってまだ心の準備が)
(おやおや、男に二言はないだろ?)
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