星屑

3/7
前へ
/7ページ
次へ
妹とはたくさんお喋りをした。 あんまりうるさくすると怒られるから、小さな声で。 私がお姉ちゃんなんだから支えてあげないと、なんて使命感に燃えていたっけ。 あの頃の私は妹に支えられていたのだ。 妹を守りたいという気持ちが夜の闇への恐怖を克服した。 朝、ベランダから入れてくれる時の母は大抵機嫌が良く、朝から目玉焼きを作ってくれた。 普段の朝ごはんはバナナだけだったからすごく嬉しかった。 明日の朝には目玉焼きが食べられる。 妹と何度もその言葉を唱えては、長い夜をやり過ごした。 そして空に輝く星を数えた。 昼に見上げると電線まみれの空は、夜になると電線が隠れて月と星が煌めく。 「あの星がきっと天の川かも」なんて、聞いたことのある単語だけで自分達の物語を紡いだ。 絵本のような、短いお話。 その登場人物はいつだって幸せな将来が約束されていた。 自分達の未来への希望をそこに託すように。
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!

20人が本棚に入れています
本棚に追加