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妹とはたくさんお喋りをした。
あんまりうるさくすると怒られるから、小さな声で。
私がお姉ちゃんなんだから支えてあげないと、なんて使命感に燃えていたっけ。
あの頃の私は妹に支えられていたのだ。
妹を守りたいという気持ちが夜の闇への恐怖を克服した。
朝、ベランダから入れてくれる時の母は大抵機嫌が良く、朝から目玉焼きを作ってくれた。
普段の朝ごはんはバナナだけだったからすごく嬉しかった。
明日の朝には目玉焼きが食べられる。
妹と何度もその言葉を唱えては、長い夜をやり過ごした。
そして空に輝く星を数えた。
昼に見上げると電線まみれの空は、夜になると電線が隠れて月と星が煌めく。
「あの星がきっと天の川かも」なんて、聞いたことのある単語だけで自分達の物語を紡いだ。
絵本のような、短いお話。
その登場人物はいつだって幸せな将来が約束されていた。
自分達の未来への希望をそこに託すように。
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