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普段は鍵がかかっていたから、今日もかかっていると思っていたのに。
体に染み付いた『当たり前』が崩壊して呆然とした。
家中を探した。
誰もいなかった。
勝手に家の外に出てはいけないと言われていたから、家の中で待った。
2日経っても3日経っても、どちらも帰ってこなかった。
バナナもお菓子も無くなって困っていた私の手を、妹が引いた。
「ねえ、ベランダに行こう」
良い案だと思った。
ベランダで待っていれば帰ってくるかも。
勝手に家の中に入ったから、怒っているのかも。
私達は明るいうちからベランダに出た。
昼間の青空は、電線ばかりでちっとも綺麗じゃなかったし、お話も浮かばなかった。
でも、暖かかった。
少し身を乗り出して外を眺めた。
あんまり外に出ていなかった当時は、外は恐怖の対象でしかなく。
下にいた見知らぬ誰かと目があって、慌てて隠れた。
見つかっちゃった。
何故かそう思った。
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