理想の母

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 駅前の喫茶店で、おばさんは母との思い出を語ってくれた。 「悠ちゃんは大人しい子だったけど、私にはずいぶん心を開いてくれていたの」  フルーツケーキを食べながら、彼女の話に耳を傾ける。 「たくさんうちへ遊びに来てくれたのよ。そうそう、カレーの日は特に来たがって……」 「カレーの日?」  曰く、小さいころからカレーが大好物だったおばさんのため、おばさんのお母さんが、週に一度必ずカレーを作ってくれたのだという。それがカレーの日。 「悠ちゃんも、きっとカレーが好きだったのね。いつか自分がお母さんになったら、カレーの日を作るんだって張り切ってたわ」 「あるよ。うちにも」 「カレーの日?」 「うん」 「そう」  おばさんはまた笑う。この人はきっと幸せなのだろう、と、見ている人に思わせるような笑みだ。  わたしは残りのケーキをひと口で飲み込み、ごちそうさまを告げた。
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