十年後の俺へ

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 十年後の俺へ  お元気ですか。  俺は元気、とは言えない状況だ。  十年後の俺なら、俺のことはよく知っているだろうな。  だって、お兄ちゃんが亡くなってからまだそんなに経ってないんだから。  ……制服姿を見せることもできなかった。  もう一緒に勉強もできないし、一緒にゲームすることもできない。  学校の友達に、お兄ちゃんのことを知っている人は居ない。  俺は一人っ子になってしまった。  ……お兄ちゃんは、もう居ない。   十年後の俺はさ、何をやってるんだろう。  医者になりたい、って卒業文集に書いてたけどさ。  数学も英語も苦手で。  国語だって古文が凄い苦手だし、社会だって覚えられないものも多い。  理科は化学が正直つらい。  中間テストも割とボロボロだったものが多いんだけど、学校でやっていけるのかな、俺。  逆に、好きなことは、物語を書くことで。  美術をやるのが楽しくて。油絵で好きな絵(漫画やアニメの絵はダメって言われた)を描くのが楽しみで。   部活だって文学部に入って、冊子を作った。  学園祭で売ることになっていて、それが凄い楽しみだ。  そんな俺は、十年後の俺は小説を書く人になってる、のかな。  それとも、スクールカウンセラーになってたりするのかな。  十年後になったら、分かることなのかもしれないけど。  十年後の俺は、何をしてる?  話は変わるけど、お父さんもお母さんもおばあちゃんも元気?  元気だと良いな。  あー……もう、だめだ。何書けば良いか分からなくなってきた。  十年後の俺は、この手紙を見つけることが出来るかな。  いや、絶対見つけろ。日記帳にでもはさんでおけ。  そうすれば、十年後の俺が見つけられるはずだから。  じゃ、乱文だけどこの辺で終わりにしとく。  それでは。  十年前の俺より 
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