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エピローグ〜10年後
「あなた、そろそろ起きて」
ん……、またあの夢か。
日曜日の朝、妻の声とコーヒーの匂いで目が覚めた。
「朝ごはん、もう出来てるわよ」
食卓にはトーストとマーガリン、それにスクランブルエッグが並んでいる。
5年前に結婚して、手に入れた小さな幸せ。
僕は……、ナミと結ばれた。ナナコさんは結局振り向いてはくれなかったが、彼女は不憫に思ったのか、ナミを紹介してくれたのだ。
子供はまだだが、もしあの手紙を受け取っていなければ、この小さな幸せも手に入らなかったのかも知れない。
朝食を終えた僕は、10年前の僕に手紙を書くことにした。届け方はわからないけど、きっと方法が見つかるはずだから。
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