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『過去の俺へ、未来の俺から一つ忠告がある。
友達付き合いは慎重にしろ。
さもないとトンでもないことになるぞ。
具体的にはお前の第一の親友である、アイツの暴走を今すぐ止めろ。
アイツの暴走のおかげで10年後の世界は恐ろしい事態に陥っている。
世界中がアイツの暴走を止められなかったことを悔やんでいる状況になっているぞ。
俺も、アイツのせいで顔から火が噴出すくらいの恥ずかしい出来事が起きてしまった。
今からでも遅くない。アイツの首元に手刀でも食らわせて気絶させてくれ、そして、考えを改めさせろ。今すぐにだ。
そうすれば、世界を救うことが出来る。それが出来るのは10年前のお前しか出来ないんだ。
一生の頼みだなんて、何回もするわけにはいかないが、これはまさに一生の頼み事だ。
止められなかった場合は、未来の俺が何とかする』
「これでよし」
スリットの際どいチャイナドレスに身を包んだ俺が身支度を整える。
いよいよ今日は10年前という過去へと飛んで、世界をあんな目に合わせた友人を始末しに行かねばならない。そんな日だった。
アイツの作った災厄の大発明【ハーレム砲】によって、アイツを除いて世界中の性別が全員女性になってしまった。政府から命じられて、それが放たれる前に、俺はアイツを消さねばならない。
俺が手を汚す前に、過去の俺にアイツを止めてもらうように頼んだ手紙。
「これも一種の情けという奴か?」
いくら世界が恨む相手だとしても、俺にとっては親友だった。
昔に戻って説得さえすれば、きっとまだ間に合うはずだ。
「さて、向かうとしますか?」
すっかり慣れてしまったスカートをヒラリと翻して、俺はミッションへと向かうのであった。
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