10年前の未来

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「…たぶん、それは無理だな。」 「え、なんで?」 「だって、あの時は……」 「あの時は?」 顔を逸らし、どんな表情をしているのか分からない。 「他に好きな人いたから。」 衝撃の事実を突き付けられた。 全然知らなかった… 初恋が叶わないって、こういう事も含まれるのかな? 10年前の僕… あの時に告白して良かったよ。 もし早かったら、玉砕してたみたいだ。 「今は違うからね?ちゃんと好きだよ?」 「分かってる…けど、なんかショックだ。」 「だからー!過去じゃなくて未来に行く方が良いんだよ。」 「…いや、10年前に行って僕を褒め讃えたいね。」 「意気地無しで良かったって?」 「またそんな意地悪言う…。」 しょんぼりした顔をすると、「ごめん、ごめん」と言いながら笑っている。 もし、過去か未来に行けたら… なんて今現在では有り得ない事だけど、行けるのならやっぱり過去に行こう。 それで、こう言うんだ。 「10年前の僕!今好きな人は変わらず意地悪だけど、やっぱり誰より愛おしい人だよ。」 って。 ああ、でも10年前の僕に言われるかな? 「結婚はしたの…?」 とかさ。 ごめん、それは意気地無しで今のキミから10年は掛かったよ。
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