きみの10年後は、僕の未来

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 きみの作品は、唯一無二だ。 「どんなところが?」  きみの言葉は、音楽を奏で、虹を生みだす。 「私の書いた言葉が?  読む人は、そんな風に感じているの?」  それどころじゃない。  感動して流した涙は、傷ついた心をいやす。 「まさか。  そんな効果まであるの?」  きみはわかっていないんだよ、自分の力を。 「そんなの、信じられないわよ」  僕は予言する。  10年後、きみは押しも押されぬ、人気作家になっている。 「またまたあ。そんな事言って」  じゃあ10年前、きみは何をしていた? 「ただのOLよ」  そう。まだ作品を書いていなかったよね。 「そうね。自分が小説を書くようになるなんて、思いもしなかったわ」  けれど、今はどうだい?  きみの作品を待つ、読者がいる。 「うん。ありがたい事だわ」  10年前、執筆活動をしていなかったきみが、  今は、たくさんの人に期待されている。  10年後にベストセラー作家になっていたって、おかしくないだろ?  そっちの姿の方が近いだろ? 「そうね。人生って、いつ何が起こるかわからないものね」  いや、運じゃないんだよ。  きみの実力で、なるべくしてなったんだよ。  10年後だってそうさ。 「そうかな。うん。やる気が出てきたわ。  がんばってみる。自分を信じるわ」  うん。僕もきみを信じているよ。
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