my best drawing

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 私がエブリスタに初めて作品を投稿したのは、2019年の5月。ちょうどエブリスタがリニューアルしてすぐの頃だった。  初めて投稿した作品は、『朱夏の夜』というヒューマンドラマ(1ページ目投稿時のジャンルはBL)だった。  この作品は今でも続いているが、その読者数は極めて少ない。読者数が2という時期さえあった。   これ以外にも、『解語の花』という小説を連載しているが、こちらの人気度も『朱夏の夜』と大差ない。  これらの小説だけを書いていた頃、私にとっての小説投稿というのは、暗い大海に小石を投げ込むも同然の行為だった。  どんなに石を磨き、高く振りかぶったつもりでも、立つ波紋など無いのも同然。そして、投げ込んだ小石は、深く暗い海に呑み込まれてゆくばかり。  もちろん、そんな中でもその小石を拾い上げてくれる方々がいて、上記の2作品を今でも続けられているのは、そんな方々のおかげに他ならない。  注目を集めるために小説を書いているわけではないし、闇雲に多くの読者を得る作品よりも、誰か一人にとっての特別になれるような作品を書きたい、という思いも偽りではない。しかし、私にも人並みの承認欲求はあるもので、閲覧数やスターが増えるのは単純に嬉しいし、感想やコメントが欲しいとも思う。  しかし、私の小説の人気が上がる様子はない。  コメントや感想、ピックアップなんてものは、自分とは関わりのない別世界のことなのだ、というある種の諦観をもって、眼前の大海と手元の小石とを見ていた。  そんな諦念を捨てるきっかけになったのは、『絵が下手だけど薔薇を描きたい!~(約)20日間お絵描きチャレンジ~』というエッセイだった。  内容はこのあまり知性を感じられないタイトルの通りで、私の絵の練習を報告するだけの、シンプルなエッセイだった。  このエッセイには、今までに1400回以上のページビューと、400以上のスターを頂いている。  この数は、一般的には特別多い方では無いというのは承知しているが、私にとっては大変なことだ。  いままで、2桁になれば驚いていたくらいだった1日の閲覧数が、3桁に達した日は、何が起こったのかと目を丸くしたものだった。  そして、何より嬉しかったのは、この作品で初めて、コメントやページコメントを頂けるようになったことである。そうしたものが、私の世界においても実在しうるのだと知れたことに、この上なく励まされたのだ。  それ以外にも、ランキング100位に入ることもできたし、注目ピックアップに載ることもできた。また、完結した後でも、続けてスターを送ってくださる方もいて、そういった応援にいつも勇気づけられた。  さらに、こうした現象が起こり始めてから、他の作品の閲覧数も、少しずつ増えていった。このエッセイをきっかけに、私のことを知って、他の作品も読もうと思ってくれた人がいたということだ。  なぜこのエッセイだけが人気を得たのか、私にはまだよくわかっていない。だから、再び水面を跳ねる石を投げることはできずにいる(余談だが、私は現実世界でも水切りが全然できない)し、眼前の海は広がり続けるばかりだ。  今日も私は、広い海に静かに石を落とす。だがそれは、誰にも届かぬ虚しい祈りではない。今の私には、明かりがある。水底の石たちは、この温かな星明りに照らされて、誰かの手を待っている。
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