真昼の星はなぜ見えないのか。

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 相良の秘密を知って最初に抱いたのは罪悪感。たまたま見つからなかっただけで彼女がひた隠しにしていたわけではないかもしれないのに、見てはいけないものを見てしまったと申し訳なさを感じた。  次に、どうして刺青を入れたのだろう、と疑問が浮かんだ。もしかしたら相良はとんでもない不良なのかもしれないし、自傷傾向のある悲劇のヒロインかもしれないし、そればっかりは本人に聞かなければ答えは出てこない。ただ、俺は相良という人間に対しても、刺青を入れるという行為に対しても、偏見を抱いているにすぎないということだけは理解した。  あれからネットで何度も刺青のことを調べてみた。耳の後ろの、同じような場所に入れている人や、似たような星の形の写真を見つけては、ああそうだ、こんな感じだったと、相良の横顔を思い出す。  間違いなくそれは刺青だった、今まで刺青なんて実際に見たことはないのに妙な確証を持っていた。相良は刺青を入れている。けれど、それをクラスメイトに吹聴してやろうなどとは思わない。自分だけが彼女の秘密を知って、独占したいと思うわけでも、彼女を強請(ゆす)ろうというわけでもない。相良に対しての罪悪感と後ろめたさがあるせいで、自分の中だけに留めておくのがいいと思ったのだ。  それに、見たのはあの一回だけで、相良とは以来一言も会話することがなかったおかげで、風が涼しくなって秋が来るころには、すっかり相良のことなど頭から抜け落ちていた。
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