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「なんだろ、これ?」私は地面に落ちている何の変哲も無い石を拾う。
すると突然今まで誰もいなかったはずの目の前に、女性が現れた。
「お姉さん、一体どこから現れたんですか?」
「そんなことはどうでも良いの」
そう言ったお姉さんは続きの言葉を早口で伝える。
「私は10年後のあなた。とにかくその石を大切に持っておいて。いつか役に立つから!」
お姉さんは必死に伝えながら、私の首元に2つ並んでいるほくろを見せ、すぐに消えてしまった。私と全く同じ位置にほくろがあった。
突然何もない場所から現れるという状況も通常なら起こりえないし、きっと本当に未来から来た私なのだろう。
そんな未来の私が必死に残したメッセージなのだ。よくわからないけどきっと大事なものであろうこの石を大切に持っておくことにした。
その日から私は四六時中、その一見普通に見える石を大切に持っておくことにした。
いつか役に立つその日を信じて。
しかし結局あの日から10年経ってもその石が役に立つことはなく、ようやくからかわれていた事に気が付いた。
自分だけ騙されるのはなんとも腹がたつ。
誰か騙して道連れにしてやりたい。
そんなことを考えている時に目の前に突然見知らぬ老婆が現れたのだ。
「そこのあなた、今から3秒だけ10年前に戻る権利があなたに当選したのですが、使いませんか?」
私は迷わず「使います!」と伝える。
そうして10年前に戻った私は当時の私に伝えるの。
その石を大切に持っておいて、と。
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