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桜の木の下にタイムカプセルを埋めた僕らは
10年後の今日、タイムカプセルを掘り出そうと約束をした。
高校ではバラバラになってしまう僕たちは
またな!元気にしろよ!などと挨拶しあうと
別れを惜しみながらそれぞれ帰路に着いた。
その帰り道の事だった。
僕は中学での楽しかった思い出を一つ一つ思い出しながら歩いていた。道の小さな段差に躓き手に持っていた卒業証書の筒を落とした。
転がる筒。それを慌てて拾おうとする僕。
それは一瞬の出来事だった。痛い、なんて思う隙すらなかった。
僕は大型のトラックに轢かれて、即死だった。
僕をあの日から10年間待ちわびていた。
ようやく皆が集まるんだ。
「みんな、久しぶりだな!」
彰は既にタイムカプセルを埋めた小さな桜の木の下に集まったいた4人に声をかけた。
「本来なら6人で集まれるはずだったのに…」
再開を果たしたあと彰は呟いた。
皆で協力してタイムカプセルを堀り出すと各々に10年前に自分が書いた手紙を読んだ。
一通り思い出話に花を咲かせると、彰は缶の中に一枚残された手紙を手に取った。
「翔太のだ…翔太の家に届けに行くか。線香もあげたいし!」
今日は翔太の命日でもある。
翔太に会いたいという気持ちで5人で翔太の家に行くことにした。
その時、突然風が吹いた。
5人は何故かまだ3月の上旬だというのに
誇らしげに咲いている小さな桜の木を見上げた。
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