わたしの中には『やまだ』がいる

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 10  あ、これは二重人格とかの話じゃなくて、具体的に住んでいるのだ。『やまだ』が。  私の名字は『うえの』だったから、この『やまだ』ってのは誰なのかは、私にも分からなかったが、気づけば何かと『やまだ』を使っていた。  意味がわからんという方へ使用例を挟むと、 「あーもう! マジでやまだ呼びたい」  とか、 「はぁ。やまだにまみれたいわ」  とかである。  この話、あまりに堂々巡りなので、関係者Aこと母を出そう。  いわく、 「あんたは昔から訳の分からない人物名を口にする子だった。まぁその人物がのちに必ずあんたの人生に登場してきて影響を与えてるから。何か特殊な能力でもあるんじゃない」  らしいのだが、振り返ってみると確かにその通りなのである。
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