13人が本棚に入れています
本棚に追加
翌日、君が永遠にいなくなったと聞かされた。
全身麻酔から目覚めることなく、逝ってしまったのだと。
俺はただスマホを握りしめながらボタボタと溢れる涙を解放した。
君がいなくなったと聞かされたままの姿で、全ての感情が両目から、喉の奥から、溢れ出るままに解放した。
こんなにデカい男がおいおい泣いて、恥ずかしいとかみっともないとか、そんな思いはみじんもない。この世から君がいなくなったことが、こんなにも悲しい。
ただただ、それだけだった。
二日後に君が家に帰ってきた。
白い布に包まれて。
結局病院に送っていった日を最後に、一度も会えないまま、君を見送ることさえ許されなかった。
仕方ない。俺だけじゃない。そんなことはわかっているけど。
テレビの向こうに映し出されるどこかの国の簡素な墓標を見ても、何の慰めにもならない。
君が準備をした、真新しいベビーベッドのすぐ隣に簡単な祭壇を作ったよ。
君が命懸けで守った子は、まだ病院にいる。
2800gを超えないと退院できないんだってさ。
小さい体で一生懸命生きようとしている。
何の根拠もないけど、あの子が陰性だったのはきっと君が守ってくれたからなんだろう。
さて、そろそろ名前を決めようか。
「うん。涼ちゃんはどんな名前がいいと思う?」
そうだな、男の子だし、呼びやすい名前にしよう。ケイなんて、どう?
「ケイ?」
うん。継続の継。つなぐっていう意味。笑の命をつないでくれた、俺たちの継だよ。
「継ね。うん、いいね」
あの時俺は確かに君の声を聞いた。
そして一緒に息子の名前を決めた。
君はずっと俺の傍にいる。俺と継の傍に。
最初のコメントを投稿しよう!