ずっとあい死てる

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あれから10年の月日が流れた。 世界を変貌させたウィルスは、季節が変わるたびに何度も流行を繰り返し、10年の間に世界の人口は半分になってしまった。 5年前にやっと出来たワクチンも、インフルエンザと同様に毎年接種しなければならず、ウィルスが変異するたびに世界のどこかで大感染を繰り返している。 マスクと手洗いとソーシャルディスタンスは全世界共通の常識となり、ウィルスと共に生きていくことが当たり前になっていた。 10年前のステイホームのままテレワークを続けられることになった俺は、お陰で無理なく継を育てることができた。 極小未熟児で生まれて、生後間もなくは体重も増えず、結局出産予定日だった1か月後に退院。それからは慣れない育児の日々が始まった。 俺も頑張ったけど、継はもっと頑張った。 母親に似たら、と心配した小児喘息もなく、何度も押し寄せたコロナの波も親子でかいくぐり、大きな病気もケガもなく、体もやっと標準サイズに届こうとしている。 継の学年は50人だ。俺の時の半分以下。公立の小学校でも1クラスの人数は20人以下と決められていて、一人用の机がきっちり間隔を空けて配置されている。 『なるべく一緒に遊ばない』 そんな冗談みたいなスローガンが貼られている教室で、どうやって友達を作るのか? 不思議でしょうがないけれど、子供たちはちゃんと順応してそれなりにやっているようだった。 生まれた時からこの環境にいるこの子たちには、これが当たり前の世界だから。
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