ずっとあい死てる

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2030年10月 今日はケイの二分の一成人式だ。 小学校の体育館は全ての窓が開け放たれて、初秋の爽やかな風を感じられた。 舞台から5メートルほど離れた位置から、計ったように等間隔で置かれているパイプ椅子は50客ほどか。4年前、ケイがこの学校に入学した時から式典ごとに見てきた、すでに見慣れた光景だ。 早く着きすぎたせいで、まだ保護者の姿はまばらだった。 最前列を陣取ることもできたけど、俺みたいなデカいのが真正面にいたら後ろの人に迷惑だろう。 プチ反抗期が芽生えそうな微妙な時期にいる息子も、真正面にやたらと目立つ父親がいるのがわかったら、きっと嫌がるに違いない。 「空気を読む」という日本語が頭をちらつくのはこんな時だ。 そして俺は考える。こんな時、君ならなんて言うだろうか。 「やだ、涼ちゃん。涼ちゃんがデカいから、私までこんな後ろに座んなくちゃいけないじゃない。なんでこんな巨人と結婚しちゃったのかな」 わざとすねたような声で君が言う。 別に俺は巨人じゃない。180超えなんて今どき珍しくもない。笑がちっさすぎるんだろ 「180超えじゃない。185!超えだから。あと、ちっさい言うな」 きっとこんな夫婦漫才をこの公共の場でも披露していたに違いない。 結局一番後ろの中央の椅子を選んだ俺は、いつもの妄想に浸っていた。
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