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ショッピングモール内の女性用の部屋着専門店に入ると、静留に似合いそうな柔らかい素材の可愛らしい部屋着がたくさん並んでいた。
__上下2セットが限界かな…。
値札を見て小さく息をつく。
あれもこれも静留に似合いそうだと全て買いたくなるが、贈り物はバイト代からと決めているので、collar代を残すことも考えると贅沢はできない。
ちなみに親からの仕送りが十分ある中で大学1、2年の時にバイトを入れまくった結果、貯金はそれなりに溜まっている。
「静留、じっとしててね。」
「??」
不思議そうにじっと立つ静留の身体に何着か似合いそうなものを当てていく。
どれも似合いすぎるから恐ろしい。当てただけでこれなら試着をさせたらさらに可愛いだろうが、着せてしまったら買いたくなるに決まっているのでそれはいけない。
迷った末に胸元にポンポンのついたピンク色のワンピースタイプの部屋着と、フードのついたもこもの長袖の上下セットを選ぶ。
そのまま手を繋ぎレジに向かったが、なぜか途中で静留が突然足を止めた。
彼の視線の先にはうさぎの耳がついたモコモコのブーツスリッパが置いてある。
静留が履いたら確実に可愛い。
「これも買おうか。」
「ほんとう!?」
黙って目を大きく開いている彼に問いかけると、彼はさらに目を大きく見開き今度はキラキラと輝かせ始めた。
「うん。」
頭を撫でてやりながら東弥がスリッパを手に取れば、静留は愛らしくふわりと笑う。
今すぐ彼を抱きしめキスをしたい衝動を堪えて会計を済ませた。
「家に帰ったら早速履いてみようね。」
「うん!!」
幸せそうに笑う静留と手を繋ぎ店の外に出る。
「静留、どこか行きたいところは?」
「東弥さんのいきたいところ…?」
静留が行きたいところはないとわかっていながらついそう尋ねてしまうのは、“東弥さんのしたいことがしたい”、という可愛い返答を聞きたいから。
いつも通りの愛らしい返答に口元を綻ばせながら、そういえば欲しい参考書があったことを思い出し東弥は書店へ足を向けたのだった。
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