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「???」
ばんざいしたまままだ手を下ろしていない静留は、東弥に抱き上げられていることに気がつき混乱する。
ひとまず彼の背中に手を回せばソファーまで連れて行かれ、東弥の膝の上に向かい合うようにして座らされた。
「?????」
東弥が何も言わないので彼の行動の意図がわからず、静留はたくさんの疑問符を頭に浮かべる。
先ほど東弥に肌を晒した羞恥などは忘れ、首を傾げながら、愛おしげに細められたダークブラウンの瞳をじっと覗いた。
彼は部屋着の胸元に付いている二つのポンポンを掬い上げたり静留の顔を見たり腰の辺りを触ったりという謎の行動を繰り返した後、再び静留をぎゅっと抱きしめ頭をわしゃわしゃと撫で始める。
東弥の温もりが気持ちよく、頭を撫でられて幸せだ。
…幸せだけれども。
「…東弥さん、どうしたの…?ぼく、なにかした…?」
あまりに疑問が大きくなったので耐えかねて尋ねれば、彼は静留の肩に顔を埋めた。
「…部屋着、似合ってて本当に可愛い…。静留が可愛すぎてどうしよう…。大好きだよ、静留。」
低く甘い声が鼓膜を震わせ、その内容に驚いた静留は彼の膝の上でぴょんと身体を跳ねさせる。
__また熱くなる…。
「あのね、…そろそろれんしゅう、してくる…。」
顔が真っ赤になるのを東弥に悟られてしまわないようにそう言うと、彼は名残惜しそうにしながらも静留の身体から手を離した。
触れていた部分が急に室温にさらされ寂しくなるのをぐっと堪え、静留は彼の膝から降りる。
__かわいいはよくいわれるけど、今日はだいすきも言ってもらえた…。
ピアノの方へと歩く間、嬉しさとどきどきする感情で胸がいっぱいになり、思わず両手で口を押さえた。
それからその部屋着が静留のお気に入りになったことは、言うまでもない。
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