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「ここでじっとしているのも不自然だから飲み物でも買いに行こうか。」
「あの、…はい。」
何を言えばいいのかわからず混乱していた東弥は、ひとまず頷き静かに彼の後ろをついていく。
自販機に行くのかと思ったが、由良はカフェまで行き6人分のコーヒーを持ち帰りで購入し、東弥にその一つを差し出した。
2つキャラメルマキアートにしているのは幹斗と真希の分だろう。
「ブラックで大丈夫?」
「ありがとうございます。」
渡され一口コーヒーを含むと温かさに安心し、身体の力が抜けていく。
そこで初めて自分が思いの外緊張していたことに気がついた。
「相談事、僕で良ければ話を聞くよ。」
まるで見計らったように完璧なタイミングで言われ、驚いた東弥はぱちぱちと2度瞬く。
「…秋月さんってエスパーか何かだったりします?」
「まさか。」
由良がくすりと笑うとともに急に自分の幼さが恥ずかしくなった。
他人の心情をこんなにも理解できるのは社会経験の差というやつかもしれない。
その美しい見た目からは信じられないが、彼は東弥よりも15年長く生きているという。
「…あの、支配欲が暴走しそうで怖い時って、ありませんか?」
「それは静留君に対して?」
「…はい。実は今日…… 」
それから驚くほど呆気なく、まだ静留にclaimをできていないことや最近その準備を始めたこと、支配欲が暴走して彼を縛り付けてしまわないかが不安なことなどを吐き出してしまった。
由良は東弥の長い話を相槌を打ちながらしっかりと聞いてくれて。
「大丈夫、東弥君は静留君のことを縛ったりしない。焦っているだけだよ。」
と、東弥の肩に優しく手を置き、酷く優しい声で告げた。
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