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高く吐息で喘ぎながら静留はすがるようにシーツを掴む。
小さな蕾ははじめ指の侵入を拒み収縮し切っていたが、入口だけを何度も親指の腹で優しく刺激しているうちにやがて柔らかくほぐれていき、指の腹に吸い付いてきた。
さながら赤子の吸啜行為のようで、この中に自分の一部を入れてみたいという欲求がさらに加速する。
「静留。」
東弥の声に反応して彼の視線がこちらへ向けられた。
彼はどこかふわふわとした表情をしており、淡く紅潮した頬やしっとりと濡れた長い睫毛はひどく東弥を惹きつける。
「少しだけ中に指を挿れてもいいかな?」
「う、うん…。」
彼の肯定を受け、弛緩した蕾に小指の先端をそっと押し付けると、そこは再び収縮を始めた。
東弥は我に帰り彼の瞳に目をやる。
羞恥で潤む濡羽色の瞳の奥にはわずかに怯えが宿っていた。
「怖い?」
問い掛ければ静留は慌てた様子で首を横に振る。
しかしその嘘に気が付かないほど東弥も鈍感ではない。
一旦行為を止め静留の横へ行き、じっと目を見て問いかける。
「どうして怖いのに怖くないって言うの?」
目の前で大きな瞳がぐらりと揺らいだ。
__…俺はまるで駄目だね。
やるせなさに唇を噛む。
静留をこんなにも怖がらせてしまったなんて、恋人として失格だ。
「ごめん、もうしないから。」
言い聞かせながら頭を撫でた刹那、静留の目元から大粒の涙がこぼれ出した。
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