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(東弥side) リビングのツリーにお菓子のオーナメントを飾りながら静留が鼻歌を囀っている。 雪だるまのクッキーとクマの形のビスケットをそれぞれの手に持ちどちらを飾ろうかと真剣に悩んでいる姿があまりにも可愛くて、東弥はたまらずその身体を背中から抱きしめた。 「??」 振り返った彼が驚いたようにオニキスの瞳を見開きぱちぱちと瞬く。 しかし彼はすぐに頬をふっと緩ませ、愛らしく笑みながら唇を開いた。 「東弥さんは、どっちがいいとおもう?ここのね、キャンディーのとなりにかざるの。ゆきだるまさんはあまいの食べないかな?」 彼の指差す方を見ると小さなキャンディーケインが飾られている。 ビスケットのクマがキャンディーを食べるだなんてそんな発想はなかった。思わず口元が綻ぶ。 「東弥さん…?」 __…限界。 衝動に駆られ首を傾げじっとこちらを覗く彼の唇を奪えば、白い頬がほの赤く染まり、濡羽色の瞳が小さく潤んだ。 「んっ…。」 そのまま舌を強く絡ませるとあえかな吐息が隙間から漏れる。 これ以上続けたら理性が壊れる、その寸前のところで東弥は唇を離した。 「雪だるまさんもクマさんもきっとキャンディーが好きだとおもうから、キャンディーの両隣に飾るのはどうかな?」 小さな頭を撫でながら先ほどの問いかけへの返答を示す。 静留はそれを聞いて先ほどまで真っ赤だった顔を無邪気にぱっと輝かせ、何事もなかったように嬉しそうに飾り付けに戻った。 もちろんクマと雪だるまは東弥の言った通りキャンディーケインの両隣に飾り、さらに他にもウサギやジンジャーマンクッキーなどをお菓子の近くに飾るから本当に微笑ましい。 ツリーの頂点には静留の背丈では届かなかったので、東弥が抱っこして2人で星型のアイシングクッキーを乗せた。 そして飾り付けが終わると静留はピアノの椅子に座り、クリスマスらしい曲を奏で始めて。 どの曲も少しずつ聞いたことがあるものと違って聞こえるのは、おそらく彼のアレンジだろう。 鍵盤に笑いかけながら軽やかに指を動かす様は、さながら妖精のように可憐で美しい。 窓の外には雪が降っている。 もしも明日積もったなら、今はまだ隠してあるプレゼントを纏った静留と外で遊べるだろうか。 雪よりもずっと煌びやかで美しい音色に耳を傾けながら、東弥はふとそんなことを考え、目を細めた。 ※あけましておめでとうございます!年末ですので昨日のペコメに返信させていただきました(>人<;) ※スター特典(★1)に昨日おもち様から頂いた可愛すぎる二人のイラストを追加しました(>人<;)
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